1.5cmの心入れ。4月のお稽古は透木釜(すきぎがま)

 

3月は釣釜でお稽古しました。寒さが和らいでくる季節に、火を釜から少し遠ざける、という意味があります。4月もこれと似たような工夫が茶室に登場します。それが透木釜(すきぎがま)です。少し羽の付いたような平蜘蛛などの茶釜を用います。そして、その茶釜の羽の下に10cmくらいのミニ拍子木のようなものをかまします。1.5cmほど、釜が上がります。さらに平蜘蛛の茶釜は平というだけあって、少し高さも低く作られています。それらの相乗効果で釜が火からしっかりと遠ざかるようになっているのです。

 

これは、実際にお湯の温度にも影響しますし、茶釜の羽部分によって、客から火そのものが見えにくくなります。そして、物理的にも炉内の空気の流れを悪くしますので、火の起こりも少し悪くなります。あまりメラメラ燃えなくなるのです。

 

見た目にも、実際にも、少し熱さを和らげる効果があるのが、この透木釜なのです。

 

ぼくは春に入門をしましたので、お稽古場に初めて来たとき、この透木釜に出会いました。たった1.5cmのことなのですが、その工夫に大変感動しました。なので、ぼくにとって毎年4月のお稽古は、初心に帰るための特別なお稽古なのです。