ケース好きにはたまらない千利休考案の旅箪笥。アウトドアで茶を点てる!

旅箪笥

 

ピクニック感覚で出かけ、外に茶道具を持ち出して、外でお茶を点てることを野点(のだて)と言います。野で点てるからそのまま野点です。外でお茶を点てるなんて特別な感じがしますので、最近の人が考えたのかな、と思いきや、千利休さんの時代からあります。

 

野点の道具に旅箪笥というものがあります。これは豊臣秀吉が小田原出陣の折、千利休が考案したものだそうです。なので、表千家、裏千家問わず、この旅箪笥を用いたお点前があるようです。(表千家、裏千家、武者小路千家と別れるのは、4代目からですから、その前からあるものは皆共通してあるんですね)

 

そして大抵は、4月のお稽古のとき、目にします。ピクニックにええ季節やわねぇ、というようなうららかな季節にぴったりです。旅箪笥は4月限定でしょうか、と先生にお尋ねしましたら、4月とか9月とかやねぇ、というお答えでした。4月という決まりはないそうです。でもやっぱり、ピクニックにでも出かけよかしらんの季節に使われるんですね。

 

本来は野点のために創案されたものですが、お稽古場の畳の上でも使います。旅箪笥の良い所は、当たり前のことですが、最初は閉まっていることです。棗も水指もこの中に入っていますので、どんな道具が出てくるのかな、というワクワク感があります。そして、お点前が終わり、お道具の拝見も終わりますと、柄杓や棗、蓋置などを収めて、また戸を閉めてしまいます。旅箪笥だけがぽつねんと残ります。

 

ワクワク感の後のぽつねん感もおもしろいところです。仕舞われているものにどうしてもぼくは惹かれてしまうようです。