小学校の図工の課題で、うんこを選んで表現の自由を奪われた少年、大森くんとその作品のこと。

小学生のころ、図工の授業で手作り絵本を作ったことがありました。

ぼくは「たぬきときつねのばかしあい」というお話を作りました。まぁ、何というかありがちというか、大人の顔色をうかがったというか型にはまった感じの絵本になってしまいました。大した傑作でもなかったのに、どうして小学生のころの作品を憶えているかというと、友だちがすごく印象的な作品を作ったからでした。タイトルは「うんこの冒険」です。大森くんという友だちでした。

小学生にとって、うんこは最高のモチーフです。その言葉を聞いただけで爆笑できるくらいのパワーワードではないでしょうか。そこへ来て、冒険も加わりますと、ワクワクしかありません。ただ、時代は昭和です。出る杭は打たれる昭和です。案の定、大森くんに先生から待ったがかかりました。いや、実際はやり直しが命令されたのでした。コロコロコミックを学校に持ってきてはいけないということと同じくらいの重さの罪ということだったのでしょう。大森くんは仕方なくやり直し作品を作りましたが、その作品の中身を、ぼくはまったく憶えていません。

子どもながらにこのときの先生のダメ出しには不条理しか感じませんでした。今思い返してもとても腹立たしい。

「うんこの冒険」は、様式便所に生み(?)落とされたうんこが流された後を描いた最高の冒険絵本でした。しばらく、学校中で話題となり、陰でこっそり皆に回され愛読されました。

そして伝説の書となり、40年以上経った今でも、こうして思い出されているのです。

阿呆言うてやんと寝よ。