ギンズバーグ詩集を持って歩く若者

ギンズバーグ詩集

 

いろいろとモノを捨てることをやっている中、ひとつの本を手にとって、作業がひととき止まりました。アレン・ギンズバーグの詩集です。10代のころに買い求め、翻訳だし、よく分からない内容ながらも広大なアメリカに思いを馳せておりました。もちろん、最近は本棚にあっただけで、開くこともそうそうなかったので、捨てようかと考え、最後の別れにパラパラとページをめくりました。

 

すると、表紙をめくったところに、シーナ&ザ・ロケッツの鮎川誠さんのサインがありました。なんでギンズバーグの詩集にサインもろとんねん、と可笑しく思いましたが、もらったときのことは鮮明に覚えています。

 

1990年のローリング・ストーンズ初来日公演は、東京ドームでのみ行われました。当時のぼくは、ロックの歴史を勉強している最中でしたので、何としてでも生き証人のようなストーンズを生で観たい!と思ってました。なので、神戸から18きっぷで東京まで行くことにして、東京ドームへ観に行きました。お金もないので、野宿して、フラフラになりながら観たことを思い出します。その野宿をする夜、つまりはストーンズ前夜、下北沢で鮎川誠さんとすれ違いました。そこで、声をかけ、サインをもらったのです。

 

サインをしてもらえる持ち物がギンズバーグの詩集しかなかったので、そこにしてもらったのでした。

 

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このギンズバーグの詩集は結構大きな本で、持って歩くには適していません。今なら絶対に、外出時の持ち物リストに加えないと思います。しかし、20歳そこそこのぼくにはその大きさも気にならないくらい、携帯したい本だったのですね。

 

そっと本棚に戻しました。