書籍「茶の湯人物案内」が本当にすごい!

図解 茶の湯人物案内

図解 茶の湯人物案内

 

とっても読みやすいのに内容が濃く、人の相関関係や道具の好みなどがよく分かる書籍のご紹介です!ビジュアルも豊富。

 

茶道では拝見のお稽古もする

お茶のお稽古は、始めたころはお点前のことばかりです。どこにどれを置いて、どれをどう扱って、というようなことで頭はいっぱいです。ところがお稽古を続けていくと、初心者には省略されていた「拝見」というコーナーが出現します。お点前の途中でお茶碗について訊かれたり、道具の拝見を所望されたら、清めてから拝見に出したり、その道具群の伝来や作者、銘などを説明する、というようなこともお稽古するのです。ただ、これらはちょっとした芝居といいますか、振りといいますか、お稽古ですので、本当のことではなくて、自分の知識で作者や伝来や銘などを付けて、説明するのです。

 

道具にも見合った格がある

慣れないうちは、あわわわ、という顔をして、先生のお顔を見ながら沈黙していると、「そうやねぇ、今の季節やったら峰の雪とか、そんな銘がいいわねぇ」とか「お茶碗は十代旦入くらいがいいねぇ」などと助けてくれます。しかし、何度もそういうことを繰り返していると、黙って先生の顔を見上げても、「あなたの道具なんだから、わたし知らないわよ」と突き返されます(笑)。知っている作者を適当に言ってみたら、「そんなしょうもないの使わへん!」とピシっと返ってきます。お点前の格に合わせて、道具にも格があり、それに見合った作者のものを、という配慮が必要なのです。

 

道具や作者のことを知るのにぴったりな本現る

というようなことを繰り返している内に、拝見で説明できるように、と道具や銘、作者のことについて勉強をするようになります。別に、しなさい、と言われているわけではないのに、自然とするようになっていくのがお茶のお稽古のすごいところです。

勉強すると言ってもウェブでちょこちょこ調べる程度で、なかなかまとまった勉強をすることが出来なかったのですが、このたび大変良い、手頃な本が出版されてまして、これは便利!となっております。「図解 茶の湯人物案内」という本です。

 

「茶の湯人物案内」のおすすめポイント

この本のすごいところは、道具や人物のイラストが豊富なところです。おかげで、どの人物がどの道具を作ったとか好んだ、とかがとても理解しやすいのです。そして、人物の正確や特徴などを表現した4コマまんがも、イメージを記憶として定着させるのに、大変役立ちます。さらにハンドブックとして、かたわらに置いておきたいと思わせるページが、巻末の年表コーナーです。先にお話したように、道具にはそれぞれ格があって、取り合わせには気配りが必要です。初心者でも考えやすい例としては、あるていど道具の年代を合わせるという方法があります。つまり、1800年ごろに作られたお茶碗には1800年ごろの茶杓や棗を合わせる、というようなことです。樂家三代、道入(1600年代に活動)作のお茶碗に近代の作家の道具を合わせることなんてしないのです。(ありえないことはないですが、基本的にはない、というレベルのお話です)そこで、この年表を見るのです。なるほど、この人とこの人は同時代を生きた人なんだな、と簡単にわかります。

 

茶の湯人物案内の年表

 

この内容でこの価格はお買い得

茶の湯のはじまり、珠光、織田信長、千利休から、近代の数寄者、茶人、藤田香雪、小林逸翁、松下幸之助まで、幅広い人物をカバーしています。お茶を習っている人で、拝見でキリッとしたところを見せたい方、必携です。道具と人物がつながる本でもありますので、茶の湯の世界を人物の相関や道具の伝来などから紐解きたいという方にもよい入門書となるでしょう。とっても便利、かつ読み物としても楽しい本です!この内容でこの価格はお買い得。