11月最初のお稽古は「炉開き」でした。
畳の上に置いてあった炉が、畳を切ったところに移動します。季節によって、ガラッと風景が変わるのです。もちろん、お茶を点てるお点前にも道具にも微妙に、あるいは大きく変化があります。
ということは、冬のお手前(11月から4月)は、半年ぶりということになります。あれ、どうだったっけ、という感じになるわけです。この半年ごとのブランクが茶道をおもしろくしている要因です。あれ、と思っている割に身体が自然と動いたりして、それはとてもうれしいことです。先輩方は何年もこの半年のブランクを経験し、所作を身につけて来られたのだと考えると重みがあります。
炉開きは「茶人の正月」とも呼ばれていて、稽古場にもおめでたい空気がながれます。
うちの稽古場では、濃茶の前におぜんざいをいただき、薄茶のお菓子は亥の子餅です。
茶の湯の炉開きは、亥の月(旧暦10月)の最初の亥の日に行われたそう(※2013年は11月5日が旧暦、亥の月、亥の日です)で、おそらくそれにちなんで亥の子餅をいただくのです。先生からは、「亥は水であり、火を避ける、すなわち火事などが起こらないようにという縁起もある」ということを教わりました。ここでも陰陽五行の思想が関係しています。
茶の湯の世界にはかなり、陰陽五行の思想が関わっています。これを理解すると、道具の取り合わせや配置、着物や帯の選び方にまでその考えを適用できるようです。が、なかなかこれは手強いです。これから陰陽五行を勉強していきたいと、ここで高らかに声をあげておきます。
3年前の炉開きの日、ぼくの母は亡くなりました。
母は亥の年生まれでした。
そして、亥の月、亥の日に逝ったのでした。
今日、気づきました。