毎年10月になると、茶道のお稽古場が特別な雰囲気になります。
「中置き(なかおき)」になるからです。
11月から4月までは、「炉(ろ)」といって、切ってある畳の穴に釜を置きます。
5月から10月までは、「風炉(ふろ)」といって釜は畳の上に上がってきます。
風炉の季節、10月以外は、上の写真より向かってもう少し左側に釜を置きます。
それには、暑い季節に少しでもお客さまから火を遠ざける、という意味があります。
(お客さまは点前する人の右側に座ります、通常)
10月になると、少し肌寒くもなるし、もうすぐ炉の季節だし、
ということで、この釜が畳の真ん中に置かれるのです。
これを「中置き」っていいます。
火がちょっとお客さまに近づいたわけです。
競馬ファンがレースで季節を語るように、茶人たちはこういう道具、配置などで、
季節を語り合います。
「ああ、中置きになったねぇ。もう来月には炉やねぇ。早いねぇ。」なんて。
真ん中に置いて、真ん中に座って、お点前を始めると、
いつにも増して、気持ちがいいです。
この写真のお棚は、「五行棚」といって、この10月の季節にだけ使われる特別な棚です。
五行、すなわち、火(炭火)木(棚)土(土風炉と灰)金(釜)水(湯)が、
すべてこの中に表現されているらしい。
あーそれにしても真ん中って気持ちいい!
ぼくは年中これでいい。