ぼくが高校生のころには、ポケベルもケータイもありませんでした。電話は家にありましたが、人間が個別に電話番号を持つということなどは考えたこともありませんでした。インターネットもありませんでした。コンピューターに詳しい友達がパソコン通信をするために電話屋さんのショウルームに行ったりするのに着いていったことはあります。インターネットはなかったけど、パソコンで通信はできていたようです。しかし、友達でパソコンを持っている人はいませんでした。せいぜいファミコンかポケットコンピュータです。電卓でゲームなんかもしていました。大学に入っても、まだケータイやインターネットはありませんでした。ゲームボーイやスーパーファミコンは大学在学中に発売されました。
その時代、つまりはインターネット以前、1995年頃までの世界は、人と会うためにはどこかへ行く必要がありました。学校だったり、ゲーセンやパチンコ屋だったり、ライブハウスや習い事の教室だったりです。
インターネットとケータイが個人へ行き渡った2000年を過ぎた頃から、誰とでも取ろうと思えば連絡が取れるし、会おうと思えば会えるようになりました。以前ははぐれメタルのようになかなか会えなかった友人にも、容易に会えるようになったのです。ソーシャルネットワークが発達して、どこかへ行って会う必要すらなくなってきました。
つながった瞬間は良かった。
しかし、全員がつながっていて、いつでも連絡がつく社会は若干の息苦しさを感じることもあり、圏外が、不安ではなく安らぎを与えることすらあります。
もっと積極的に圏外にいたい。圏外で過ごしたい。圏外を大切にしたい。
とインターネットで発表する愚かさよ。
ケータイ忘れて出かけるだけでええんちゃうん。
阿呆言うてやんと寝よ。