下痢になったクサガメさん
うちのカメは、飼い主の都合で田舎に預けられたり、また帰ってきたり、してきました。さらには引っ越しも何回か経験しています。前回の引っ越しのとき、わりと長く電車に乗せました。それがストレスだったのか、お腹がゆるくなってしまい、下痢が続いたのです。
下痢だと水がすぐに汚れるし、匂いもきつくなるので、水換えなどの世話も大変になります。あまりにも下痢が続くものですから、さすがに心配になって、近所の獣医を探しました。しかし、なかなか爬虫類を診てくれそうなところがありません。
そのとき、一冊の本を持っていることを思い出しました。「カメの家庭医学」という本です。著者は、小家山 仁氏。カラー写真豊富に、さまざまなカメさんの症例が載っていて、参考になるという以上に、かわいそうな気持ちにすらなります。そして、しっかり面倒見てやろう、という気持ちにもさせてくれる本です。下痢の項目などを読んでいると、余計に心配になってきました。
レプタイルクリニックを見つける
ふと、著者、小家山 仁氏のプロフィールに目を通すと、「レプタイルクリニック院長」とあるではないですか。さっそくウェブで調べてみますと、御茶ノ水にレプタイルクリニックなる爬虫類の専門病院がありました。ここだ、と思い、さっそくお電話しました。
「うちのクサガメが、ストレスなのか下痢が止まらなくて、診ていただきたいのですが・・」
「はい、では明日、できればカメさんのフンを持ってきてください」
「はい、わかりました」
という感じで、アポイントは完了しました。明日、小家山先生に診てもらえるからね、とカメに言い聞かせ、スポイトや小瓶などを買ってきて、フンの採取に備えました。
そしてレプタイルクリニック訪問
また、しばらく電車に乗って、カメさんとふたり旅です。御茶ノ水から数分歩いたら、ありました、レプタイルクリニック。受付では、カメさんのお名前は?と聞かれました。ちょっと恥ずかしいな、と思いながらも「カメリです」と答えました。
中に入りますと、お若い(実際の年齢より随分とお若く見えました)先生が迎えてくれました。フンを採取した小瓶を渡しましたが、ちょっとフンが溶けてしまっていて、参考にならないとのことでした。では、カメさんを見せてください、ということになりましたので、箱からカメリを取り出しました。そうしましたら、先生が即座に、「立派なオスのクサガメちゃんですね!」と言ってくれました。クサガメのオスは大きくなると黒くなりますので、さすがにひと目で見抜いて、うちのカメさんをほめてくださいました。
箱を開けると、うちのカメは緊張のためかうんちまみれになっていました・・。先生は少し微笑みながら「あ、これでフンの状態を観られそうです」とおっしゃって、そこからフンのサンプルを採ってくださいました。どうも下痢は治ってきているようで、まずまず普通のフンの状態だったので、ぼくとしては、うれしいような、しかしわざわざ病院だなんて過保護だったのかなぁ、という恥ずかしい気持ちも感じました。病院に行くとなると調子が戻るなんて、飼い主と似てる・・。
小家山先生のカメへの深い愛情を感じる
案の定、フンの状態にも異常は見られず、健康体である、と診断されました。途中、小家山先生は、慣れた手つきでうちのカメさんを抱き上げ、状態を見たり、くんくんと匂いを嗅いだりしてくださいました。「うん、大丈夫ですね。健康です」とのことでした。先生のその様子から、本当にカメを好きなんだなぁ、と伝わってきました。完全に拍子抜けですが、せっかく「日本一のカメの獣医」さんにお会いできたので、いろいろ聞きたいことを聞きました。カメのエサについて、カメに散歩は必要か、などを相談しました。そのことについては、またいずれ書きたいと思います。
サインをもらう
ずっと読ませてもらっていた「カメの家庭医学」の著者訪問のチャンスです。カメを飼い始めた時から、先生の本を買って読ませてもらってました、ということをお伝えするとともに、「本にサインをいただけませんか?」とお願いしてみました。小家山先生は、困ったような顔をされ、でも少しはにかみながらスラスラっと本にサインをしてくださいました。
最後に歯医者さんが使うような先の尖った器具で、カメさんの甲羅を掃除してくださいました。甲羅が立派に育っていることをほめてもくださいました。日本一のカメの獣医にほめてもらって、ぼくは、ああ飼育の仕方を間違ってなかったんだな、と心強く思いました。
うんちまみれだったカメさんも箱もキレイにしてくれましたので、帰りはとても健やかにおとなしくしていたようです。
レプタイルクリニック
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