アメリカやヨーロッパの国にはチップの習慣があります。アメリカのレストランで食事をしてますと、「どう?いい感じ?」「おいしい?」「何か他にいる?」としつこいくらいに聞いてこられます。海外に行き始めた当初は、あら親切やねぇここの人たちは、と思っていましたが、やがて、それがチップのためであることを知り、まさにカルチャーショックを受けました。
サービスに対してお金を支払う。
このことが日本で暮らしているとあまり意識されません。喫茶店に入って、水と熱いおしぼりが無料で出てきて、うぇーっとできることが当たり前です。サービス云々の前に、何かと提供されることが当たり前だったから、サービスに対してお金を支払うということに抵抗が現れるのです。
サービス、提供されたものに対価としてお金を支払う、という風に考えることは、日本人としては、やはり受け入れがたいです。日本人としては、は言い過ぎかもしれませんので、ぼくとしては、と言い換えてもいいです。その考え方では、なんでも金、という価値観に行き着いてしまいそうだからです。こっちは金払っとるんじゃいサービスしたらんかい、という態度に至る価値観です。
では、どのように考えましょうか。
自分が応援したい、大切だと思うものを存続、育成、成熟させるための投資活動だと考えるのはいかがでしょうか。ついうっかり、安いからこれ買おうとかになってしまいがちですが、高くても、こっちの製品を応援したい、とかそういう心があれば、高くても自分が良いと思う方を買えば良いと思います。そういう考え方です。
幸いなことに日本にはチップ制度がありませんので、何か提供してもらったら、支払わなければならないという暗黙のルールはあまりありません。その点、価値に関して自由があるとも言えます。しかし、その代わり、何に価値を見出していくか、ということに自分自身が慎重にならなければ、CMや広告で勝手な価値観を植え付けられる危険性も大いにあります。
昨日は、バンドが「売れること」について考えましたが、その流れで今日のこの記事となっています。自分が売れるとか売れたいとかそういうことから離れて、少し目線を引いて、自分の好きなロック・ミュージックへの投資活動なんだ、という視点を持つだけで、昨日のお金に対するモヤモヤが晴れていく思いがしました。
つまりは、お金を支払ってもらってるんだし、こっちもサービスしなきゃなぁ、なんてステージの上や下で考えて、悩んで、へこんだりもしましたが、そんなことは、考えなくても良いのだという結論に至ったのです。ロック・ミュージックが好きだったり、ライブハウスが好きだったり、アマチュア・バンドが好きだったりする人たちが集まって、その文化、産業に対する投資をしてるのですから、自分一人の狭い視野で思い悩むことはないです。
ライブハウスで買ったその1杯のビールがロック・ミュージック文化を継承しているのです!