お道具お点前オールスターズ

 

分割して稽古する、割り稽古

茶道を習い始めると、まず最初に割り稽古というものをします。基本のお点前のひとつひとつの所作を部分的に練習していきます。お点前を「割って」稽古するので、割り稽古です。道具を清めたり、清めるために帛紗を捌いたり、それぞれが出来た上で、いよいよお点前のお稽古に進みます。

所作を割って稽古していますから、いざお点前のお稽古に入っても、それぞれが組み合わさっていき、スムーズに身につけ、覚えていくことが出来ます。ギターで言うと、コードの押さえ方、形を学んでから、組み合わせて曲にしていく、というようなことと似ていると思います。

 

奥のお手前

基本のお点前は、盆略と言って、お盆を使ったお点前です。その後、平点前(ひらでまえとは基本の点前のこと)として、薄茶点前と濃茶点前を学びます。これが炉と風炉によって違いますので、4つ稽古します。習い始めたころは、4つ覚えればいいのか、楽勝じゃん!と思っていたわけですが、その向こうに、「四ヶ伝」という完全に口伝となる奥のお点前というものが存在しておりました。これがまた5つほどあって、もちろん季節ごとなので、さらに倍!ということで10ほどあります。そして、四ヶ伝は月に一度ほどのお稽古ですので、なかなか覚えられません。

 

さらに向こうへ

せっかく基本の4つを覚えたのに、まだ追加で10も覚えなくてはいけないのか、しかし、がんばるぞ、と日々お稽古に励んでおりました。その後、さらに驚愕の事実が発覚します。まだその奥があったのです。「真之行台子(しんのぎょうだいす)」というお点前の稽古をつけてもらいました。これは奥秘というもので、稽古をつけてもらうためには、四ヶ伝のさらに上、特別なお許しが必要です。

 

四ヶ伝は割り稽古だった

真之行台子には四ヶ伝で習った特別な道具の扱い方が随所に出てきます。しかも四ヶ伝で習った所作が組み合わさったような感じだ、とお稽古をつけてもらっていて気づきました。四ヶ伝で出てくるそれぞれの特別な道具とそれぞれの特別なお点前所作が総出演な感じなのです。これって、「お点前お道具オールスターズ」・・えらいのが居りました・・。「24(トゥエンティフォー)」などのドラマを観ていて、こいつがボスか、なんて思っていたら、実はそいつは雑魚キャラで、その上にもっと大ボスが居た、みたいな気分です。

 

終わりなきお稽古の旅

真之行台子のお稽古では、まるで初めてお茶のお稽古をつけてもらったときのように、時間がかかり、ロボットみたいに先生の言葉に反応するだけの状態でした。モタモタしているので、仕舞いの時には足がしびれてしまって立てなくなりました。お稽古が終わり、先生に「真之行台子、お稽古ありがとうございました」とご挨拶をしましたら、先生が、「はい、これが真之行台子。これが基本ですからね、しっかりお稽古していってくださいね」とおっしゃいました。基本?この奥にまだ何かあるのか・・。そらあるわな・・。かくして終わりなきお稽古の旅は続くのでした。