お茶のお稽古をしていると、「拝見」という場面があります。
お客さんが亭主に所望し、道具を拝見するということをします。
お稽古では、小芝居をしているようなもので、
こちらは前田家伝来の…とか鴻池家伝来の…とか本当はそんなわけないんですが、
亭主役をしている人が、それなりに考えて言うのです。
大阪市立東洋陶磁美術館では、本物の前田家伝来の壺や花器などを見ることができました。
やっぱり素晴らしい!色々な陶磁器が並んでいるんですが、
茶道を少しやれば、何となく侘びているものに、はぁぁ~、となり始めます。
ぼくはすっかりそうなりました。
茶道を習い始めると、展示品を道具として、使われる場面をイメージできるようになります。
「この水指は重たそうなので、水入れて運び出すのは嫌だな、無理だな」とか、
「この花器を床に置くと、さぞ美しいだろうな」とか、
「どんな茶花が似合うだろうか」とか、
「このお茶碗で濃茶を練ったら、緑が映えるだろうな」とか。
その程度ですが、初心のぼくでも感じるところがあります。
それは、茶道を習う前とは別世界です。
大阪市立東洋陶磁美術館は、展示の仕方にも工夫があります。
中国陶磁室は天井が高く、明るい光に包まれ、その華やかな魅力を存分に味わうことができ、韓国陶磁室は天井が低く、照明も落とし、部屋のなかで陶磁器に接するような趣とするなど、作品にあわせて室内の雰囲気もかえています。いっぽう、日本陶磁室では、低い展示ケースと落ち着いた照明で、座敷で器を鑑賞する効果を演出しています。
と、ウェブにも説明がありました。
たしかに、日本陶磁室では、畳に座って、両手をついた感じで展示物を観ている気分になりました。
展示の高さが絶妙なのです。これはすごい!照明も相まって、まさに「拝見」。
日本陶磁だけではなくて、全部それでも趣きありそう!
拝見の感覚を味わえる大阪市立東洋陶磁美術館、おすすめです。