人間って強い。そう感じました。
沖縄には、激しい戦場となった歴史があります。恥ずかしながら、ぼくはこれまで詳しくこのことを調べたこともなく、「ひめゆりの塔」という言葉は知っていましたが、いったいそれが何なのか、ということは知らずに生きてきました。
ひめゆりの塔は、慰霊碑です。大きな塔が建っているのではありません。また、これが建てられている場所は、壕の跡地であり、その一部がそのまま保存されています。その壕は、「第三外科壕」と当時は呼ばれ、女学生で組織されていた「ひめゆり学徒隊」によって、負傷兵の看護や配膳を行っていたということです。
地下壕の中に木でベッドがこしらえられていて、そこで看護するのですが、物資は少ないし、不衛生だし、当時の状況は推して知るべしです。
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ひめゆりの塔のとなりに、「ひめゆり平和祈念資料館」という建物がありました。中には写真や当時の道具などが展示されていました。また、壕の内部を再現したものなどもあり、当時のことを垣間見ることができます。なかでも強烈に印象に残るのが、ひめゆり学徒隊で、戦争を生き抜いた人達による証言です。映像を館内で観ることができます。
「真っ暗な壕の中で、傷口に湧いたウジの音が聞こえ・・」
「顔を負傷した兵隊さんのウジを1つずつ取るのですが・・」
「爆弾がいつ落ちてくるかという中を走って・・」
など、お話されていました。その様子に「強さ」としか表現しようのないものを感じました。展示されている当時の写真に、何十キロもひたすら歩く授業(訓練?)の様子が写っていました。そのような状況下での写真にも少女たちの笑顔が見られました。しかし、涙なくしてこの笑顔は見られません。
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高校生のころ、広島の平和記念資料館に行ったことがあります。「この展示を世界中の人が見れば、戦争なんてなくなるに違いない!世界の人が見るべきだ!」なんて若者らしい感想を持ちました。でも、そのような感想をいまは持ちません。こういうことを知りたい人だけが見に行けばいいし、知りたくない人は無理に来る必要もない、と思います。修学旅行で強制的に連れてきたって、無意味です。
ぼくは善悪でものごとを捉えるのが嫌で、できるかぎりそういうことから離れていたいと考えています。しかし、「戦争」だけは悪である、と断言します。あいつが悪いこいつが悪いという話ではありません、戦争が悪です。