昔の日本人はすごかった、みたいな表現をよく目に、耳にします。自分でもそういう表現をしたこともあると思います。果たして、この場合の昔というのはどの程度昔のことを指しているのでしょうか。縄文時代か、平安時代か、戦国時代か、江戸時代か、明治大正か、昭和か。いわゆる、真面目で勤勉で質素で、というようなところを褒める場合は、明治以降昭和初期までの短い期間を指しているように思います。自分が「昔の日本人」という言葉を使うときも、このあたりをイメージしています。
中世の日本人は江戸時代や明治時代の日本人とは随分違った、と言われています。なので、「昔の日本人」発言にツッコミを入れたがる人もいるわけです。しかし、日本人だけでなく、中世から近世なんてどの国の人間も相当進化していますので、変わっていて当然です。
ぼくは、明治以降の近代、戦前までの日本人というものがある程度の理想的なところまで極まっていたのではないか、と感じています。何となく、「昔の日本人」というとき、その頃の日本人像をイメージするのはそのためです。だから、その時代のことをもっと知り、自分の生活や価値観の形成に参考としたいと思っています。戦後、つまりは敗戦後の日本が向かった先は、結果として魅力的なものではありませんでした。沢山消費することを目指した社会でしたが、消費を通り越して、浪費させるシステムに多くの人間が取り込まれてしまっています。
進路を変更すべきときが来て、随分経ちます。
が、まだ間に合うと思います。何からはじめましょうか。