高校の先生が勤め先の高校の入学式を休み、自分の子どもの入学式に行ったというニュースがありました。瞬間的に、そりゃそうやろ休んだらええがな、と思いました。反面、公務に就く人がそんなことで良いのか、と言いたくなる気持ちも分かります。
1970年代に生まれたぼくの世代は、古い日本と世界に開かれつつある日本を両方肌に感じ取っている世代ではないでしょうか。もちろん、そういう人が多いのでは、というお話です。人の価値観の大部分は両親や育った家の環境によるところが大きいです。そういった部分で、古い日本の考え方に基いてしつけられた人がまだ多いのが1970年代生まれなのではないか、ということです。
古い日本という言い方はあんまりなので、「儒教的な思想」と言い換えます。儒教をベースとした江戸時代の武家の教育はその後の明治維新につながっています。また、近年では「は?儒教?」という人も多いと思いますが、実際まだまだその名残りがこの国にはありますし、それによってコントロールされています。
儒教の影響として代表されるのが、「先輩後輩」や「年功序列」の概念です。実際に近代においても日本はこの考え方によって統治、コントロールされてきました。そして、近代日本の儒教的メッセージは「権力に逆らったらいけませんよ」という言葉に集約できます。
決定的なのが1972年のあさま山荘事件であり、これがテレビにおいて生中継され、90%近い最高視聴率を叩き出したことです。山荘に人質をとって立てこもった連合赤軍に対し、警察が突入し解決するという様子が全国に放送されたのです。そして、多くの人がこれを観ました。ここで強烈に「権力に逆らったらいけませんよ」というメッセージが流れました。同じくして、当時活発であった学生運動も収束していきます。これ以降(つまり1972年以降)、大規模な学生運動はありません。逆らってはいけない、逆らっても無駄という考え方が植え付けられたのです。そういう背景のもと、育てられたのが1970年代生まれの世代なのです。
以上、善悪を脇においたお話でした。
有給休暇を出した高校が悪い、とか先生が悪い、とか、善悪はどうでもいい、とぼくは思います。しかし、こういうニュースで互いに議論をし、日本に住む自分たちの思想について振り返る機会を持つのは意義あることだと、ぼくは思います。それらを自覚して、これからを生きるために。
ニュース
高校教諭 勤務校欠席し息子の入学式へ 教育長「生徒が心配する事態招いた」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140415/edc14041507540001-n1.htm
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