おそらく母親の仕向けだと思われるのですが、幼い頃から英語が好きです。
5歳のときの夢は「英語の人になる」ことでした。小学生では、作曲家、漫画家、牧師になりたいと、中学生では、天文学者になって彗星を発見し、自分の名前を付けてもらいたいなんて考えていました。成長とともに、なりたいものは変わっていきますが、好きなものはあまり変わらないような気もします。
英語は今でも好きです。
かといって、ペラペラ話せるわけでもなく、今更ながら勉強もしています。
その中で、いつかは使ってみたい英語の言い回しというものがいくつかあって、教えてもらったけど、10年以上、使うことのできていなかった言葉があります。
それは、「Thanks anyway.」というものです。何かを訊いてみたけど、その人も分からなくて、結局問題は解決しなかったのだけど、「まぁでも、とにかく、ありがとう。」というような意味で使います。
先日、アリゾナのフラッグスタッフという街を訪れた際、ちょっと大きな本屋さんに立ち寄りました。Amazonで輸入書籍を買えるのですが、アメリカで買ったほうが断然安いだろうと考えて、探してみました。(TVドラマFringeのSeptember Notebookという本です)
それらしきコーナーを探してもなかったので、店員さんをつかまえて、
「TVショーのフリンジのセプテンバーノートブックというのを探しているのだけど..」
と尋ねました。
「ああ、フリンジね、知ってるよ!ちょっと待ってね。」と端末を叩いて探してくれました。
「いま、うちには在庫がないみたいだけど、注文すればすぐに届くよ。」と店員さん。
ぼくは、「今日、この街を離れなければならないんです。」と言いました。
そうなんだ、と残念そうな店員さん。
なんとこれは!
ものを尋ねたけど、達成されなかった。
でも、お礼を言うタイミング。
来た!!ここだ!!!
「Thanks anyway.」
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ついに、このセリフを言うことができました。このセリフを受けた店員さんの表情もしっくり来ていて、いいタイミングで言えたことを感じました。
洋書を少しでも安く、なんてことはどうでも良くなっていて、はじめて一人で喫茶店に入って、自分でお金を支払ったときのような気持ちを胸に、書店を後にしました。