しかし、母はそれから2年ほど生きました。1年過ぎたころには大変体調も良さそうで、肺がん患者であることを忘れてしまうほどでした。もともとそういうことを考えることは好きでしたが、やはりその時期、死ぬことについて余計に多く考えました。
考え詰めると、死というものは生とともにしか存在できず、生のあとに死がやってくるわけではないことに行き着きます。つまり死ぬと「死」も死ぬのです。そして、ぼくたちが生のあとにやってくると考えていた死というものは、永遠に来ないということになります。存在しないから。
なので、死の直前の光景って永遠なんじゃないか、というこのうたができました。曲については、ドラムのアタがほとんど完成に近い形でデモトラックを作ってくれました。そして出来上がりがこれです。
昨年、父が心臓の手術をしました。全身麻酔で行う手術ですので、それなりのリスクと相当の覚悟が本人にも家族にも必要でした。手術が無事成功し、麻酔から目覚めた父は、生のあとに死は来ないことに気づいた、というような意味のことをぼくに話してくれました。死は第三者が認定するものであり、本人には確認できないというようなことです。ぼくは心のなかで、少し前に気づいてたよ、と言葉なくつぶやきました。(^^