高校1年生くらいのときに、ギターを弾きたい、と思い始めました。確かブルース・スプリングスティーンが表紙のヤングギター誌を見て、ナチュラルなテレキャスターが欲しいと思っていました。まだ働いていない、親に完全に養ってもらっていた身分でしたので、親に買ってもらうしか方法はありません。なんとか母親を説得して、いついつに買ってあげる、とそういうところまで持ってきました。
その夏、担任の先生による家庭訪問がありました。
そこで母親が、「この子、ギターを始めたいと言ってましてねぇ」と担任の先生に漏らしました。先生は、「ギターですか・・1年上の生徒で、ギターでダメになったのがおりまして・・」と溜息ながらに視線を床に落としました。
約束されていたギター購入は見送られました。
その後、ぼくはギターへの興味が薄れ、RUN DMCやLL COOL J、ビースティーボーイズなどのヒップホップにのめり込みました。大学に進んで、ようやくお小遣いを自分で稼ぐことができるようになってからエレキギターを買いました。少しだけ手に入れるのが遅くなったけど、それはそれで良かった、と今となっては思います。高校生当時はとてもうらめしかったのですが・・(^ ^;。
15歳でギター持って、ヤングギターで練習を始めていたら、hot buttered pool はなかったと思います。大学生になってからギターを始めたから、hot buttered pool になって行ったのです。世の中のほとんどのことが、とても小さな偶然の積み重ねによって組み立てられているということは、振り返ってみるとよく分かります。あのとき、ああしていなかったら、これはなかった、なんてことは沢山あります。
今日の日を思い、いろいろなことについて、「あのとき、ああしていて良かった、良くやった」と自分に言ってやりたい気分になりました。担任の先生にも感謝かな。いやうらめしいな。うそ、感謝です。