前に来たことがあるから、分かっているはずなのに、その上を行かれることがあります。たとえば、奈良の大仏がそれで、何度訪れても「はいはいデカイのは分かってるよぉ、来るぞ来るぞ、うわぁ!やっぱりデカイ!」と記憶の上を行く衝撃を毎回得られます。
愛媛県松山市にある老舗「アサヒ」の鍋焼きうどんもこれです。うどんのつゆとお肉が甘いことは分かっています。その甘さを味わいたくて来ています。「はいはい甘いの分かってるよぉ、甘いぞ甘いぞ、うわぁ!やっぱり甘い!」と記憶の上を行く衝撃を今回も受けました。
予測して口にしても甘い。しかし、これがとっても美味しい。やさしさを味で表現したらこれになる、そのような味です。
出されるときはこんな感じです。
アルミ製の鍋です。レンゲもアルミ製ですので、うっかりおつゆにつけたまま食べていると、熱くて持てなくなる上、口を付けようものならヤケドします。
なので、開けた蓋を裏返し、レンゲを載せておくのがよろしいでしょう。
猫舌の人は、この蓋を小皿代わりにして冷ますという荒技もあるかもしれません。が、お行儀は良くなさそうなのでお薦めいたしません。
お肉とおつゆのやさしい甘味を存分に楽しみましたら、途中で七味を入れて食べてみましょう。このあまから感はここの鍋焼きうどんならではだと感じます。
松山の大街道を入った先にあります。松山に来られたら、ぜひこの甘い鍋焼きうどんを食べてみてください。昭和前期の雰囲気を感じ取ることのできる店内も雰囲気最高です。