【保存版!】美味しい抹茶の点て方

抹茶の点て方

 

お茶を習い始めると、お茶を上手に点てたくなります。お稽古場では、数名での稽古のため、なかなか何度もお茶を点てて、研究するなんてことができません。そうすると、自分で抹茶を買って、茶筅と茶碗を用意して、家でも点ててみようということになります。

 

抹茶の味を決める要素をまとめてみました。まだまだ駆け出しのぼくですが、自分なりに研究したことを共有いたします。それは違うんじゃないの、ということはぜひ、お教えください。m(_ _)m

 

抹茶の味を決める要素【裏千家薄茶編】

 

  1. 抹茶粉の量
  2. お湯の温度
  3. お湯の量
  4. 水質(釜の湯かポットの湯か)
  5. 茶筅の振り方
  6. お茶碗の種類
  7. 室温
  8. 飲む方の状態

 

1.抹茶粉の量

お茶一盌(いちわん)に適した抹茶粉の量は茶杓で1杓半と言われます。

茶杓によって、1杓の量も違いますから、経験で覚えるしかありません。一応2g程度と言われていますので、量ってみるのもいいでしょう。そして、その粉の量をしっかり目に焼き付けて、感覚として身につけます。

 

2.お湯の温度

お湯の温度は80度程度が適温と言われています。

ぬるいとお茶が泡立たなくなります。熱すぎるとお茶の苦味渋みが際立ちます。

家では、温度計を使って、温度別に点ててみて、味を比べてみると分かります。茶室には温度計などないので、これも皆さん感覚を身につけておられます。室温と釜でお湯の沸いている様子との関係を見て(つまり、湯気や音などから)、熱さを判断しています。自分で練習する時は、お湯を茶碗に注いだ時の様子や点てているときに伝わってくる茶碗からの熱などを感じ取って、温度への感覚を養います。

 

3.お湯の量

お湯の量は、柄杓の合、半分くらいとされています。

お湯は抹茶に対して、少なすぎても多すぎてもいけません。これも何度か試してみて、身につけましょう。

茶の湯では、いろいろな種類の茶碗を使いますので、見た目ではお湯の量を判断しかねます。ですので、合の大きさを基準に、お湯を多め少なめと調整するすべを身につけることによって、安定したお湯の量を供給できるようになるのです。自宅で点てる場合は、決まったお茶碗を使って、大体の量を目視、確認することでも良いと思います。

 

4.水質(釜の湯かポットの湯か)

以前、ヨーロッパやアメリカの水でお茶を点ててみたことがありますが、水質が硬く、あまり美味しいお茶となりませんでした。日本の水で点てる場合はそんなに意識しなくても良いでしょう。

しかし、何を使って沸かすか、ということは大いに関係します。同じように点ててるつもりでも、どうも稽古場と味が違う、ということがあります。それには、稽古場では釜の湯を使っているということが関係しているのです。釜は鉄でできていますので、鉄分が豊富に含まれたお湯となっています。お湯に含まれた鉄分が、抹茶の渋みを感じさせる成分タンニンと結合して、お茶の味をまろやかに変化させるのです。なので、できれば自宅でも鉄瓶を利用したりするほうが、お茶のまろやかさを感じることができるようになります。

 

5.茶筅の振り方

まっすぐ縦に振ります。お茶碗を上から見て、12時6時と往復するように振ります。スピードはある程度あったほうが良いのですが、力を入れて振るわけではありません。肩の力を抜いて、でも素早く、という感じで縦に茶筅を振ってください。

最初は「だま」を作らないように底のほうを振り、その後は、底を掻かないように中ほどを振り、泡立てます。そして、さらに茶筅を水面近くに上げていって、泡を細かくし、仕上げます。そして、振り終わりましたら、ひらがなの「の」の字を書くように茶筅を回し、茶碗の真ん中からそっと引き上げます。(この茶筅を引き上げる部分の心の入れ方はひとことでは説明できません。ぜひ習いに行って先生に教わってください)

 

6.お茶碗の種類

これは、上記の「お湯の温度」「お湯の量」「水質」「茶筅の振り方」などすべてに関わりがあります。茶碗にはさまざまな種類、素材、形があるために、お湯の冷め方に差があったり、お湯の量の調整がむつかしかったり、水質が変化したり、茶筅の振り方がいつものようにできなかったり、と色々な点に影響を及ぼすのです。

お茶碗が変われば、すべてのアプローチを変えなくてはならないというくらいデリケートなものです。なので、まずは決まったお茶碗を使って、納得の行く味ができるまで練習してみて、それからいろいろなお茶碗に挑戦するのがいいでしょう。何かを固定しないと、味に変化があったときに何が原因であったかの判定ができなくなるからです。

 

7.室温

室温も上記のお湯の温度に関連した項目です。

当たり前ですが、室温が低ければ、お湯が冷めるもの早くなります。ですので、そのことも考慮して沸かすお湯の温度やお茶碗の種類、点て方(茶筅の振り方)などを変えなくてはなりません。実際、冬の寒い時期には、お湯が冷めにくく、形の細長い「筒茶碗」というものを使ったり、夏には少し冷めやすい「平茶碗」というものを使ったりします。そして、さらにはそのときの気候にあわせた温度に炉の炭火を調節し、釜の湯の温度も加減するのです。

 

8.飲む方の状態

美味しいお茶、という表現は曖昧です。お腹いっぱいのときのステーキより、朝から何も食べていない時のカップラーメンのほうが美味しいということもあります。これからお茶を飲んでくれる人がどのような状態なのか、喉が渇いているのか、そうでないのか、お腹の具合は、はたまた味の好みは、などを察して、出来る限りその方に合ったように心づかいをしてお茶を点てることが必要になります。自分では、これが美味しいお茶、と思っていても、飲まれる方は、もっと濃い目でぬるい方が好き、なんてこともあるからです。

 

以上、8つの項目を挙げましたが、ひとつを気をつければ良いという種類のものではなく、相関しているものなのが、むつかしいところであり、おもしろいところであり、腕の見せどころでもあるのです。お茶事はもちろん、お稽古でも自宅での練習でも、一期一会であり、無常であるということを実感します。

 

稽古場で、お茶をいつも美味しく点ててくださる先輩がおられます。毎回、道具も釜の温度も室温も違う中、安定して美味しいお茶を点てられるということは、本当に細かい要素に気が付き、瞬時に判断しているのだと考えられます。バッティングでいうところの打率に似ています。先輩方は、美味しいお茶を点てられる打率が高いように感じます。美味しいお茶を点てられる「打率」を上げていきたい、とぼくも日々修行しています。できればポテンヒットではなく、クリーンヒットで。