後世に残すとはどれくらいの後世なのか。

初めてアルバムをCDで発売したとき、ああわいはこれでこの世に何かを残したでもういつ死んでもええわ、と思いました。25歳くらいの若造の考えることなので浅はかで恥ずかしい限りです。CD一枚くらいがお前の人生か、と言ってやりたいです。が、そのときはそのくらいの充実感があったのは確かですから、仕方ありません。

何かを残したい、というのは割と本能的な欲求なのでしょう。家系を絶やさないとか、自分の遺伝子を後世に残したいなどは、種が生き延びる為の、種としての原始的な欲求を満たすためのすり替えのように思われます。

自分が死んでしまえば、自分で後世は確認できません。いくら何かを残したつもりでも、死んだ瞬間に、イメージしていた未来も終わります。さて、未来をイメージしていくと、人類はもうすぐ永遠の生命を手に入れそうですね。しかしここでいう永遠も儚いもので、太陽が大きくなって地球を飲み込んでしまえば、地球という惑星そのものが終わります。人類は、住めなくなる地球を捨てて、他の星へ移住する計画を立てるかもしれません。

そのときに、ぼくの作ったCDは持って行ってもらえるのか?あなたの子孫は移住する宇宙船に乗っているのか?私たちの先祖代々のお墓も持って行けるのか?ところで後世ってなんだ?

阿呆言うてやんと寝よ。