くまのプーさんの本名は・・ということがちょっと話題になりました。プーじゃなくて、サンダースである、と。これの根拠は、原作の挿絵にあって、プーさんが住んでいる家の表札に「サンダース」と書いてあるからです。
プーさんとかかわいい名前で呼んでもらってるけど、実はサンダースなのかよ。えらくおっさんみたいな名前じゃないか!と思ってしまいます。
しかし、原作を挿絵だけでなく、文章の方もしっかり読んでみましょう。
むかし、むかし、大むかし、このまえの金曜日ごろのことなんだがね、クマのプーさんは、森のなかで、ただひとり、サンダースという名のもとに住んでましたとさ。
中略
「金ピカの字で、そういう名まえの書いてある表札が、玄関の戸の上にのっかっててね、その下に住んでたんだ。」
とあります。
煮え切らない表現です。これだけならこのクマはひょっとしたらサンダースという名前だったのかも、と考えられます。
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今度は、原作者A・A・ミルンさんのまえがきを読んでみましょう。
もしかして、みなさんがクリストファー・ロビンのことを書いた、もう一つの本をおよみになっているとしたら、クリストファー・ロビンが、まえに、プーという名まえの白鳥をもっていたということを、おぼえていらっしゃるかもしれません。それは、ずいぶん、まえのことでした。そののち、わたしたちは、その白鳥とさよならをしましたが、そのとき、白鳥がもう、プーという名まえをいらないだろうと思ったので、名まえだけ、もってきてしまったのです。
とありました。
プーというのは、もともとは白鳥の名前だったのだけど、それをクリストファー・ロビンが自分のテディベアに名付けたということになります。なので、プーさんはあくまでもプーで、サンダースではありません。プーさんがよくわからず、サンダースと表札のかかったうちに住みついていると考えるのが妥当だと思われます。
じつはプーさんって、「ウィニー・ザ・プー」といいますよね。この「ウィニー」のほうにも由来があるようですが、それはまた別のお話で。